分析家の独り言(滋賀インテグレーター養成講座第三回:超自我の発達より)
昨日5日(土)、第三回インテグレーター養成講座、自我論Ⅲ《超自我の発達》を開いた。
自我の三審級(エス、自我、超自我)をバランスよくいかに構造化できるかが精神構造上大事である。
超自我は親からの禁止(親の「ダメ」)として子どもに取り入れられるが、超自我も発達していく。
しかし臨床上、超自我が親の禁止の段階で止まっていることが多い。
人が成長すると共に、様々な経験を通して社会適応しつつ、エスの解放をいかに上手くするかという問題になる。
エスの解放のみではやりたい放題で、人を傷つけても殺しても平気、欲しい物は人の物を取ってもよいということになる。
また、超自我が支配してしまえば、禁欲的な真面目人間となるが、躍動感や楽しむ事ができず抑圧されたエスは行き場を失い、最後には爆発することになるだろう。
これが何か事件が起きたときに、「あんな真面目な人が事件を起こすなど考えられない」というコメントになる。
痴漢行為をすれば職を失い、家族がいれば共に路頭に迷うことにも成りかねないのに、電車で女性のお尻を触るということにもなる。
程よい超自我を持つことは簡単ではない。
超自我は自分を律する自我であるが、自分の理想のために今自分は何をし、何を我慢しなければならないかという自我理想に向かうために働く。
ここまで超自我が発達すれば大したものである。
その前にまず、自我理想を描けないという人たちがいる。
親が理性的、論知的でしっかりした超自我をもっていなければ、子どもは超自我を学べない。
子どもは親以上の超自我を持つことはできない。
分析では、クライアントがどれくらいの超自我をもっているかを、クライアントの語りや行動からみていく。
また、犯罪や凶悪事件が増えるということは、超自我のない人間が増えているということである。
全ての人に正しく超自我が入っていれば、警察はいらないのだから。
して良い事と、悪い事の分別がつかないということは、やはり赤ちゃん(アダルト・チルドレンどころか、アダルト・ベイビー)ということになる。
インテグレーター養成講座に参加の方は、お母さん方が多く、毎回「子どもに申し訳ない、ごめんなさいです」と言われる。
子どもに命令指示し、禁止する超自我を植えつけてしまったという反省かと思う。
http://lacan-msl.com/contents.htmlラカン精神科学研究所のホームページ
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