分析家の独り言 369 (滋賀分析理論講座より:リピドー)
滋賀分析理論講座は、前回の「口唇期の心の発達 リピドーとは」をもう一度振り返った。
クライアント達から質問があり、それに答えながら、エディプス期の男児と女児の心の発達を解説したり、症例を上げて話をした。
そのため、今回の講座はテキスト的にはほぼ進まなかった。
リピドーとは、対象を求め、対象に向かうエネルギーである。
外から備給されたエネルギー(リピドー)を、エスに貯蔵し、それを対象に向けて放出する。
この淀みなき流れが、生命感である。
ところが、この流れが育ってくる過程で滞ってしまう。
エスからせっかく対象に向かったリピドーが、親の「ダメ」、「わがままだ」、「贅沢だ」・・・などの言葉で、対象に行き着けなくなる。
「ダメ」が繰り返される、うちに子どもは「どうせ親に言っても無駄だ」と思うようになり、好奇心や対象への関心を失っていく。
これが更に積み重ねられると不登校、ひきこもりまたは非行になっていくことにもなる。
親が子どもに「ダメ」と言ったりして、否定するのは親自身がまた育ってくる過程で、同じように否定された再現であり、それはほとんど無意識的である。
そのため、親は当たり前に子どもを育て躾していると思っているだろうし、特別いけないことだとも思っていない。
本来は我慢させるのではなく、まず出すことである。
親がそのまた親に我慢させられてきたために、子どもにも我慢させる。
だから、ここで出すことがまず大事なことを親御さんに理解してもらい、子どもにオールOKしてもらう。
最初は失敗しながらも、これまで「ダメ」と言ってきたことを「OK」にする事が出てくる。
すると、何らかの子どもの変化が見える。
つり上がっっていた子どもの目が柔らかくなったり、「ありがとう」の言葉が聞こえたり、部屋の掃除をしたりと。
その報告を聞くと、親(クライアント)もしんどいながら何とか頑張ってオールOKしようとしていることがわかる。
クライアントも、頭ではオールOKすることが良い事と思いながら、それをすぐには出来きらず、またやる中で迷いも生じる。
それを分析で支え、同時に母親であるクライアント自身を振り返り見つめてもらう。
母親が変われば、子どもも変わる。
一緒に取り組み頑張りましょう。
ご自分と子どもの明るい未来のために。
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