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2010年7月21日 (水)

分析家の独り 376 (無意識をみる)

分析場面でクライアントと向き合った時、クライアントの全てを情報として見る。

その日クライアントの来ている服にも意味がある。

クライアントはもちろん無意識であるが、心の状態やその日の気分を表す言葉の入ったTシャツを来てくることがある。

あるクライアントが着ていたのは、PARADOX PHILOSOPHER の文字が書かれたTシャツだった。

これは矛盾(した)哲学者、逆説(の)哲学者という意味。

確かにこのクライアントは逆転した世界に生きていた。

それは例えば、自分の喜びは相手の苦しみになり、相手の喜びが自分の苦しみになるとか、その人にとって快が不快、不快が快に換えられている。

自分が正しいと思っていることは間違っていて、間違っていることは正しいという逆転した世界に生きている。

これは非常にややこしく、疲れるはずである。

分析は、このクライアントの中の逆転を、快が=快に、気持ちいい事が=気持ちいい事に、喜びが=喜びにと、一致にするようにすることである。


また他のクライアントは、ETERNAL UNION という文字のTシャツを着て来た。

ETERNAL:永遠の  UNION:結合、合体、一致

永遠の結合、合体を求めているクライアントだとわかる。

人間が究極的に一体化を求めるのは母である。

このクライアントから、1時間の分析の間に「お母さん」という言葉が何度出たことだろう。


人は無意識に数ある服(Tシャツ)の中から、自分の好みの、自分にあったものを選び着ている。

それは偶然ではない、全ては必然である。

その無意識を読み取り、それに気付いてもらうこと。

人間は一人ではこの自分の無意識に気付くことはまず出来ない。

そのためにインテグレーター(分析家)がいる。

また、分析という場面ほど、自分に全身全霊を向けて関心を向けられる事はないだろう。

本来なら、親が子どもに常にこの関心を向けることが必要だった。

しかし、ほとんどの人が親から声もまなざしもスキンシップも充分に受けていない。

正確に反応してもらっていない。

その結果、逆転した世界に生き、肉体は大人の年齢になっても、結婚していても母親との永遠の一致を未だに願うことになる。

精神分析によって語り、クライアントは、自分に欠落したものに初めて気付き、変容し、成長していくのである。


http://lacan-msl.com/contents.html ラカン精神科学研究所のホームページ

http://tokyo-mtl.com/goodboy/ いい子が危ない 月刊 精神分析 2010年07月号

http://lacan-msl.com/mailmaga/ メルマガ:子育て相談室便り

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