-1月15日、インテグレーター養成講座 (共謀の行き詰り)に寄せて- No.2
精神分析で重要視することの一つに 『 見捨てられ不安 』 があります。
夫婦、パートナー選びの際にも、互いが無意識に持つ見捨てられ不安が多大に影響します。
例えば、子ども時代に母親が仕事を持っていて、当たり前のように毎朝仕事に出かけて行ったとします。
子どもは保育園に預けられますが、本当はお母さんに世話され一緒に居たかった。
これは毎朝母と一緒に居たいのに、見捨てられるようなものです。
こうして見捨てられ不安を持っていると、同じように見捨てられ不安を持った人にひかれ、
パートナーになります。
見捨てられ不安を持つ男性は、自分を見捨てないで自分に執着し、
しつこくしがみついてくれる人と出会うことをイメージし探しています。
パートナーとなる女性もまた見捨てられ不安が強いため、
同じようにひつこくしがみついてくれる男性を探します。
実際には、母親との間で愛着や信頼、親密さ、信頼を学んでいないので淡白なのですが、
見捨てられることに傷つき恐いという不安を意識しないために、
「どこまでもあなたについていくよ」、「一生見捨てないよ」というしつこい態度をとります。
これは本当に相手を必要とし尊重し愛情を持ってアプローチしているのではなく、
見捨てられないために相手にしがみつきたいだけで、
極端に言えば、母のように自分を見捨てないで、しつこくしがみついてくれる人なら誰でもいいのです。
こうして人は自分の弱さを防衛します。
お母さんとべったりくっつき、世話され愛情を受けてきた人は、しつこい人をしつこくうっとおしいと感じ、
ただただしがみつかれることを煩わしいと感じます。
こういう人がアプローチしてきても、魅力を感じることはなく避けるでしょう。
無意識にある見捨てられ不安を持った者同士が、ひかれあうことがよくわかると思います。
また、同じ無意識を持っていない者はひかれあうことなくパートナー・夫婦にならないということです。
発展的なものではなく、無意識にある葛藤を共有していて強く惹きつけあうのが夫婦です。
夫婦は 『 しがみつ く』 という同じ無意識のテーマを持ちながらも、その両極端な態度をとります。
一方が見捨てられないために相手にしがみつく態度をとり、もう一方は逃げるという態度をとります。
相手が逃げるためより追いかけたくなり、しがみつこうとするエネルギーは増加されます。
そのために一方は相手にすぐ「別れましょう」などと言い、いつも見捨てるような態度をとります。
離婚をにおわせると相手はよりしがみついてきます。
いくらしがみつきたいと思っても、結局互いが満足することはありません。
共謀とは、互いが互いの無意識を演じ合い、無意識を具現化させようとするのですから、
同じ態度をみせることはありません。
これが夫婦が、発展的(世話する)立場と退行的(世話される)立場
というように両極化した態度をとる理由です。
子ども時代の葛藤を、今度は結婚したパートナーと再現していることに気づくことです。
自分の無意識(コンプレックス)を知り、見捨てられ不安と向き合い、
健康な形で満たし合うことを夫婦互いが目指せばいいですね。
インテグレーター(精神分析家) 登張豊実
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