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2016年12月16日 (金)

分析家の独り言 767(音・圧・温:母の温もりを温泉に置き換え刻む)

あるクライアントがご夫婦で温泉巡りをしていると聞きました。

その車中で話をしながら行くという事で、仲睦まじい姿が浮かびます。

私はほとんど週一回、近くの雄琴温泉に通った時期がありました。

今でも時間が取れれば行くところの一つです。


分析を受ける中で、温もり ”という文字が象徴界に登録されていないとわかり、

全身をすっぽりと包む温泉がいいだろうという事になりました。

狭い家のお風呂よりは、大きな湯船につかり、手足をも伸ばしゆったりと出来る温泉。

通ううちに楽しみになっていきました。

寝ころび湯は浅めの浴槽で、寝ころんで1時間くらい寝ていました。

炭酸泉はとても温まります。

母に抱かれ人間が最初に刻まれる三つの文字があります。

これが人間の脳に心に、イニシャルとして登録されなければいけません。

それは、まず母の心音 ”、そして“ 温もり ”、更に“ 圧 ”です。

母の胸に抱かれた時に赤ちゃんに聞こえる母の心臓の鼓動である“ 音 ”

母に抱っこされて皮膚が接触して伝わる母の温もり、“ 温 ”

そして母に抱っこされることにより皮膚に感じる適度で心地好い圧迫感、“ 圧 ”

ギュッと抱きしめられた時のホッとする感じです。

これを、“ 音・圧・温 ”と言います。

母が働いていたりして、母に抱っこされる時間が少ないと

“ 音・圧・温 ”の文字は刻まれません。

もう一度赤ちゃんに戻って、母に抱かれることは不可能です。

だから、今の大人になった私達は、この文字を意味で置き換えていくしかありません。

こうして換喩によって、自分に無いもの欠けたものを

現実界に見つけて得ていく言が出来ると、

フロイトやラカン達が教えてくれました。

これは宝探しです。


人間には、自ら心のバランスを取ろうとする働きがあります。

自分が興味関心を向けていくものとは、自分に必要なものです。

それを知らず知らずのうちにやっています。

そういう意味でこのクライアントは自己治療の試みをやっていました。

更に、母に抱かれたときの温もりを温泉に浸かってぬくもる事に置き換えて、

温もりを脳に心に体に刻もうと意識的にすると満足度が違います。

心が健康になってくると、

人間に備わっている心のバランスを取ろうとする力が働いて

この宝探しを自然としていくものなのだと

あらためてクライアントに教えられました。

精神分析はしっかりと意識化して、置き換えていくことが出来ます。


              ラカン精神科学研究所 セラピスト 登張豊実


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